私が生まれて初めて飼ったのは、幼稚園のころでした。
「クッピー」という雑種の犬のペットがいました。
名前も私が付けました。
飼い始めた当初は、まだ子犬でした。
初めてのペット。
嬉しくて、その日から毎日散歩が日課になりました。
その散歩を通して、一緒に歩いたり走ったりする機会がたくさんできました。
家族と一緒に散歩をすれば、犬の散歩と同時に、家族とコミュニケーションの機会にもなっていました。
いつの間にか、親と子と結びつけてくれる役目を果たしていたと感じます。
毎日、犬と野原を駆け回り、かけっこをしていました。
相手は子犬ですから、当然私のほうが走る速さは上でした。
ところで、犬は人間のおよそ4倍の速さで成長するというのをご存じですか。
犬の大型犬と小型犬では寿命に違いがあり、正確にはもう少し定義が異なりますが、おおむね4倍と考えていいでしょう。
犬の1歳は人間の4歳。
犬の5歳は、人間でいう20歳と同じです。
この犬の成長の早さには、驚かされました。
ほんの短い時間に、みるみるうちに大きくてたくましい犬へと変わっていきました。
田舎ですから車の通りも少なく、畑はたくさんありました。
100メートル以上もの長い道が、家の周りにたくさんありました。
毎日、クッピーとかけっこ競争をしていました。
稲を刈り終えて空き地状態になった畑があるので、そこがクッピーとかけっこ競争の場になっていました。
初めは子犬でしたから、私のほうが走るのが速かった。
しかし、数年後、成長の早いクッピーは、私より速く走るようになりました。
さすが犬だけあり、全力で走ると、車のようなスピードになります。
これが子どもでも悔しいです。
初めは自分のほうが早かったのに、後から抜かれるのはとても悔しい。
車のように速く走るクッピーを何とか追い抜いてやろうと思い、競争相手はいつも犬のクッピーでした。
散歩の時間では、ライバルとして見ていました。
その結果、毎日クッピーと競争している影響で、私の足腰も強化されていきました。
日課であるクッピーとの散歩。
思いきり全速力で走る。
そんなクッピーのおかげでしょうか。
ついに、私は学校で走るのが一番速くなります。
おそらく先天的な運動神経も多少関係してはいたでしょうが、クッピーとのかけっこ競争によって鍛えられた面も大きいと感じます。
全校生徒400人程度の小さな小学校ではありましたが、校内で一番速く走れるのは快感でした。
しかし、です。
それでもクッピーだけにはかないません。
盛りの犬が本当に全速力で走ると、まさに車と変わらぬスピードです。
私のライバルはいつもクッピーだったのです。