すぐ答えを求めるのは、悪い習慣です。
答えを1つしか見つけられないからです。
早く答えを知りたい気持ちはわかります。
しかし、意味がわかった瞬間に、話の決着がついてしまいます。
たとえば、以下の言葉はいかがでしょうか。
「こんなことをするなんて、あなたは悪魔のようだ」
この言葉には、1通りの解釈しかありません。
言葉のとおりに解釈すれば、それ以上、それ以下もありません。
しかし「こんなことをするなんて、あなたは……」と、いいところで寸止めになると、解釈の仕方はあなたの想像しだいです。
言わなかった言葉の解釈は、無言だからこそ無限に広がります。
言おうとしたのに言わなかったとき、味が深くなります。
漫画の一番面白い言葉は「……」です。
漫画の中から「……」がなくなれば、面白くなくなります。
すべての言葉が、よどみなくはっきりだと、具体的ですっきりしますが、悲しい気分になります。
言葉が明確に書かれていることで、解釈もひととおりしかありません。
一度読んで「ああ面白かった」で終わります。
そういう漫画は、一度読んだら終了です。
漫画の本当の面白さは「……」です。
主人公が言おうとしたのに言わなかった言葉こそ、読者に与えられた課題です。
言葉にできない言葉が登場したとき、言葉では表現できない重みが感じられます。
感覚・感情・思いなど、言葉で表現できないからこそ「……」で代替するしか表現できません。
主人公の深い思いが「……」に現れています。
自分の想像に任せて、好きな言葉を入れましょう。
その言葉には、ひととおりの答えではありません。
あなたの考え方しだいでは、10も20も言葉が入ります。
あなたの成長、抱えている悩み、時期によって、解釈がそれだけ異なります。
「……」がたくさん登場する漫画は、何度も読みたくなります。
深さが感じられて、読むたびに違った味を感じるのです。