大人の世界では「まずい」「つまらない」は禁句です。
作り手を傷つける言葉です。
「まずい」「つまらない」という言葉にはとげがあり、不快感を与える可能性があります。
使い方には注意が必要であり、できれば使用を避けたいワードです。
「正直に言って何が悪い」と思うかもしれません。
たしかに正直な発言は大切ですが、だからといって何でもストレートに言えばいいわけではありません。
「まずい」「つまらない」と言われた側の気持ちを察してみてください。
すべてを否定されたように感じるでしょう。
価値がないと言われているように感じる人もいるかもしれません。
「とっさに出る言葉」は大事です。
人間関係は、ちょっとした一言でひびが入ってしまうことがあります。
特に大人であれば、作り手を傷つける言葉は避けておくのが賢明です。
どんな料理・作品にも言えることですが、100人中100人が低評価をつけることはありません。
必ず「良い」と評価する人がいます。
たとえば、ある料理を食べたとき、味が悪くて不快に感じたとします。
100人中100人が不快に感じることはありません。
「おいしい」と感じる人もいます。
本を読んだり映画を見たりしたとき、面白いところがなくて、まったく楽しめなかったとします。
100人中100人がつまらないと感じることはありません。
レビューサイトを見れば「良かった」「面白かった」と評価している人がいるでしょう。
自分では「最低」と感じても、別の人は「最高」と感じていることがあり、真逆の評価となることも珍しくありません。
世の中にはさまざまな価値観を持つ人がいます。
「まずい」も「つまらない」も、あくまで主観であり、個人の感想にすぎません。
ここは配慮が必要です。
代わりにおすすめするのが「合わない」という表現です。
「まずい」「つまらない」は「合わない」という表現に言い換えられます。
「まずい」「つまらない」と言いそうになったら、ぐっと喉で止めて「合わない」という表現に言い換えてください。
そのほか「そりが合わない」「馬が合わない」「考えや価値観が合わない」といった表現もOKです。
表現を変えるだけでがらりと印象が変わります。
世の中には、その料理や作品を高く評価する人がいることを忘れてはなりません。
高く評価する人がいることをわかっていれば「合わない」という表現のほうが穏便であり、ふさわしいといえます。
頭ではわかっていても、とっさに「まずい」「つまらない」と口に出てしまうことがあります。
「まずい」「つまらない」と感じたら「合わない」に言い換える訓練をしておくといいでしょう。
ナポレオンの明言をもじって「我が輩の辞書に『まずい』『つまらない』の文字はない」を心がけておきましょう。
作り手に配慮した表現を使うのが、大人です。