相手と考えがぶつかると、自分の考えを理解してもらうと説明します。
「話せばきっとわかってもらえる」と期待する。
ところがいくら話しても、相手は首を縦に振りません。
何度も話し合っても話が噛み合わず「わからない」「理解できない」「納得できない」という返事ばかり。
感情を抑えながら丁寧に説明しても、話が平行線のまま進展しないことがあります。
そんなとき「あの人とはわかり合えない」となるでしょう。
自分の考えを理解してもらえないと、むっとするかもしれません。
わかり合えない人がいるのは悪いことでしょうか。
いいえ、悪いことではありません。
わかり合えない人はいてもいいのです。
むしろわかり合えない人がいるのは自然なことです。
生まれや育ちに違いがあれば、お互いの常識や価値観が異なります。
わかり合えない人がいるのはよくないことに感じるかもしれませんが、よくも悪くもありません。
お互いの価値観が異なっているだけです。
どちらが正しいのか、どちらが間違っているのかではありません。
どちらも正しいのです。
相手には相手の考えがあり、自分にも自分なりの考えがあります。
残念ながら「話し合えばわかってもらえる」というのは幻想なのです。
わかり合えない人がいるのは問題ありません。
おかしなことでも悪いことでもなく、普通のことです。
理解されなくて怒ったり落ち込んだりする必要もありません。
わかり合えない人がいるのは大いに結構なことです。
ただし、このとき大切なマナーがあります。
わかり合えないからといって、相手を否定や攻撃しないことです。
悪口を言ったり感情をぶつけたりしないことです。
「なるほど、そういう考えもありますね」と思うだけでいいのです。
賛同しなくてもいいので、相手の意見を尊重します。
どうしても受け入れがたいことであれば、さらりと流してしまうのも悪くありません。
受け止める力も大切ですが、受け流す力はもっと大切です。
馬耳東風に徹すれば、心が楽になって平常心を保てます。
このマナーさえ守っていれば、話が噛み合わないことはあっても、トラブルには発展しません。