会話中、相手にきちんと伝わっていないと気づくことがあります。
優しい心、楽しい心、魅力的な心。
悲しい気持ち、悔しい気持ち、諦めたくない気持ち。
「聞き流されていた」
「真剣に話を聞いていなかった」
話したことが相手に伝わっていないことがわかると、残念な気持ちになります。
「きちんと聞いていなかったでしょう」「もっと真面目に話を聞いてほしい」と言いたくなる。
人によっては、不快になったり、怒りを感じたりする人もいるでしょう。
うまく話が伝わっていないことはよくある状況です。
しかし、小さなことにかっかしないことです。
完全なコミュニケーションを実現するのは無理があります。
自分と相手は、物理的に別々の存在です。
物理的に別々ですから、想像や共感はできても、完全な理解は難しい。
頭の中で思い描いた内容を、漏れなく100パーセント、相手に伝えたい。
完全なコミュニケーションが実現できれば理想的ですが、現実ではなかなか難しいこともあります。
特に心や気持ちは、デリケートです。
心や気持ちは、絵や文字とは違って、具体的に表現するのが困難です。
「悲しい」という気持ちにも、幅があります。
少し悲しいのか、ひどく悲しいのか、違いがあります。
本人でないとわからない気持ちがあります。
本人でも自分の気持ちがよくわからないことも少なくありません。
気持ちを100パーセント相手に伝えるには、言葉や表現を駆使する必要があり、大変難しい作業です。
もともと心や気持ちは無形で曖昧なので、具体的に表現して伝えるのは難しい。
言語化はできても、うまく伝わらないのは日常茶飯事です。
もっと寛大になりましょう。
特に注意したいのは「前にも言った」という口癖がある人です。
心のどこかで完全に伝えようとする気持ちがある証拠です。
「どうして理解してくれないの?」と、いらいらすることが増えるでしょう。
完全に伝えようとするから苦しくなります。
完全に伝えようとするのではありません。
半分伝わってよしと考えましょう。
自分の気持ちがすべて伝わることを期待しないこと。
自分の気持ちがすべて理解されなくても、かっかしません。
10を話して、半分が伝わればよしとしましょう。
言葉による高度なコミュニケーションは、地球上で、私たち人間だけに与えられた特殊能力です。
コミュニケーションができるだけでありがたいのですから、半分が伝われば十分です。
伝わらなかったことは、別の機会にあらためて話せばいいことです。
少しずつ100に近づけていけばいいのです。
少しコミュニケーション量は増えますが、接触する機会が増え、人間関係は深まります。
半分伝わってよしとすれば、楽になります。