学生時代、ヒロミという女友達がいました。
呼び捨てで読んでいたくらい仲がよかったのです。
しかし、私が学生時代、最も振り回された女友達でもあります。
ヒロミは、お願いの天才でした。
断りにくいのです。
なぜかというと、上目遣いをしながらお願いをしてくるからです。
一般的に男性は、上目遣いの女性に弱い。
男性の前で上目遣いをすると、男性の態度がよくなります。
女性が上目遣いになることで、男性は見下しているように感じ、優越感を抱くからです。
また、上目遣いになることで、女性がより腰を低くしてお願いしているようにも見えます。
この状態では、断りにくくなるのです。
ヒロミは、上目遣いで私によくお願いをしてきました。
あるときは「部屋のゴキブリ退治にきてほしい」と頼まれました。
あるときは「私の代わりに宿題をやって」と頼まれました。
あるときは「重いものを持ってほしい」と頼まれました。
上目遣いで頼まれると、断りにくい。
「貴博君、お願い!」という声が、今でも耳に焼き付いています。
上目遣いをしてくる女性は、男性の心をよくわかっています。
私も、自分が利用されていることは、承知していました。
それでも上目遣いで「貴博君、お願い!」と言われると「え? また?」と思います。
腹が立ちながらも「仕方ないな」と思ってしまう自分がいたのです。