中学生のころ、とある女友達とメモ交換をした時期がありました。
「日記の交換」や「手紙の交換」ほど、大げさなものではありません。
単なるメモの交換です。
相手は、単なる女友達です。
私が学生時代は、まだ携帯電話が普及していない時代でした。
たまたま、女友達に伝えたいメッセージがあって、メモを書いて渡しました。
ノートの端を破って、鉛筆で簡単なメッセージを書きます。
「3番の問題の解き方、教えて!」
しばらくして、返事が返ってきました。
「そんなこともわからないの? 答えは35です!」
どきっ。
そのとき、普段とは違う心の高鳴りを感じました。
「どきどき」があり、興奮を感じたのです。
最初は勉強の内容のつもりだったのですが、その後だんだん深い内容になっていきました。
「昨日は何をやっていたの?」
「おすすめの漫画はある?」
「休日は、いつも何をやっているの?」
だんだんプライベートな内容になってきたのです。
これが妙にどきどきでした。
メモですから、すぐ返事が返ってきます。
手書きなので、メッセージに温かみや親しみがあります。
別の発見もあります。
色白のいつもおとなしそうな女の子が、メモに「次のテストが心配。逃げ出したい」と書かれていると、どきっとしたものです。
いつもと違った一面が見えるからです。
普段は見えない彼女の内面が見えて、私は驚いたり嬉しかったりしたものです。