18歳のころ、家族旅行で北海道に行ったときのことです。
たまたま宿泊していた宿の近くに、高級寿司屋があるという話を聞きつけました。
普段なら「高い。贅沢だ」で、そのまま話は終わってしまうのですが、そのときは特別でした。
家族旅行です。
開放感もありました。
「せっかくだから食べに行こう」ということになりました。
それは今でも覚えている衝撃でした。
今まで安物の握り寿司ばかりだったのですが、いきなり何十倍もする値段の高級握り寿司です。
畳の香りがする座敷に案内されました。
登場した大きなお皿の上に、たった2貫の握り寿司です。
それほど高級な握り寿司を食べるのは、生まれて初めてでした。
食べるのがもったいないので、食べる前に深呼吸をしました。
写真を撮ってから食べました。
これは衝撃でした。
うまかったのです。
その1貫1,000円の高級握り寿司は、ネタが大きくて、ご飯が完全に隠れています。
しかも脂の乗り具合が素晴らしく、見た目といい味といい、18歳の私ですらすぐわかったほどです。
それからというもの、私はよくこの話題を出します。
普段から高級な握り寿司を味わうのは難しいですが、話のネタとして、一度いいのではないでしょうか。
現に今、あなたにお話ができるネタになっています。
高級握り寿司の値段には「寿司の料金」とだけでなく「話のネタ」の料金も含まれている思えばいいのです。
今後一生涯にわたって、友人との話のネタに持ち出せます。
そう考えると、高級握り寿司は、高いとは言えないのです。