一般的に、犬は虫歯になりにくいとされています。
大量のだ液を出す性質があり、酸を薄める効果があります。
また、そもそも犬のだ液には、人とは異なる大きな特徴があります。
人間はだ液が酸性ですが、犬はアルカリ性です。
人間はそもそもだ液が酸性であり、歯垢を分解したときに酸が発生するため、虫歯になりやすい。
一方、犬の場合は、アルカリ性のだ液が歯垢を分解したときに発生する酸を中和する働きがあり、虫歯になりにくいです。
しかし、です。
たしかに犬は虫歯になりにくいですが、別の歯のトラブルを抱えやすい。
それが「歯周病」と「歯肉炎」です。
犬のだ液はアルカリ性であるため、虫歯には強いですが、歯石がつきやすいという難点があります。
糖分を分解すれば、歯に歯垢がこびりつきます。
歯垢ははじめ柔らかいため、歯磨きをすれば取り除けますが、通常犬は歯磨きをする習慣がありません。
歯垢は長時間ほうっておくと、石のように固くなってしまう性質があります。
これを「歯石」といいます。
歯垢が、石のように固い歯石になってしまうと、厄介です。
単なる歯磨きでも取れなくなり、専門医に任せるしか手はありません。
この歯石が原因で歯周病や歯肉炎になりやすくなります。
歯のトラブルは、犬の寿命にも影響します。
人間の場合でも、虫歯で歯が痛くなると、気力に影響します。
歯の痛みは体全身に及び、痛みのため、行動力が奪われます。
犬が歯のトラブルを抱えた結果、歯の痛みのため運動しようという意欲が失われ、散歩の距離や頻度などが少なくなります。
運動量が著しく低下すれば、筋力低下。
筋力が低下すれば、老化の促進という悪循環を招く危険性があります。
ほんの数本の歯とはいえ、侮れません。
では、どうすればいいのでしょうか。
予防するためには、飼い主が定期的に犬の歯を磨いてあげるのが一番です。
一般的な飼育書には「犬は虫歯にならないので歯磨きをしなくていい」と書かれているものが多いですが、誤りです。
歯周病や歯肉炎の可能性があるため、やはり歯磨きは必要です。
頻度はそれほど多くはなくてもいいですが、2日に1回や3日に1回くらいはしましょう。
犬の歯の状態を見ながら、状況に応じて頻度を変えるようにしましょう。