「ガチャ」
玄関の扉を開けると、そこにはすでにしっぽを振っている犬が立って出迎えてくれた。
そんな経験はありませんか。
ドアを開けた音で飼い主が家に帰ってきたことに気づき、部屋の奥からやってくるならわかります。
「ただいま」と声を出したり、扉を開ける音を聞き取ったりして、帰ってきたことがわかるからです。
しかし、まだ「ただいま」とも言っていないし、玄関の扉を開けた時点ですでに待ち構えられると、嬉しいけれど少し不気味です。
「なぜ今、帰ってくることをわかっていたのか」
犬には透視能力があり、壁の向こうまで透けて見えているかのようです。
もしくは何かGPS機能のようなものがついていて、飼い主の現在地を把握しているかのようです。
なぜ扉を開ける前に、すでに待ち構えられるのか。
もちろん犬の鋭い聴覚のおかげです。
聴力は、人間の5倍から7倍もあります。
家の前をたくさんの人や車が往来している賑やかな場所でも、犬はその音の中から自分に関係した音を聞き分けることができます。
たとえ、家の前を多くの人が歩いている環境でも、飼い主の歩き方の癖やテンポなどから、聞きたい足音を聞き分けられます。
飼い主が遠くから歩いてきている時点で気づき、扉を開けるときには待ち構えることができる偉業を成し遂げられます。
なにより大切なことは、そういう経験があれば飼い主は大喜びしてもいいということです。
飼い主の足音が聞き分けられるくらい、飼い主のことを熟知している証拠です。
わざわざ玄関で待ち構えてくれるのも、飼い主に1秒でも早く会いたい気持ちの表れです。
飼い主と犬との関係が良好である証拠なのです。