吸い物の中には具があります。
どれも簡単に口にできる具ばかりといいたいところですが、1つ、食べ方に大変困る具があります。
貝類です。
貝の身を食べるとき、苦労しませんか。
貝の身は、太い貝柱でつながっているため、食べる前に切り離さなくてはなりません。
さすがに口先を使って、貝から身を剥がすのは、あまりに見苦しすぎます。
かと言って、椀の中に箸を入れて貝をいじくり回すのは、手間がかかりますし、椀を倒しやすくなります。
食べたいのに、食べられない。
さて、どうすればいいのでしょうか。
こういうときこそ使えるのが「蓋」です。
吸い物は蓋を開けた後、裏返して、盆の外に置いているはずです。
驚くべきことに、この蓋は小皿代わりに使えます。
椀の中で貝を食べようとするのではなく、一度蓋に移してから食べればいいのです。
これは和食において許容された食べ方であり、マナー違反ではありません。
こうすれば、手が滑っても吸い物を倒すことがなくなりますし、貝から身を剥がしやすくなります。
貝から身を剥がすときは、貝柱の部分を箸で柔らかくほぐすイメージでつまみます。
貝から身が剥がれた後は、手で椀を持ち上げて、口元まで運び食べます。
吸い物を飲み終われば、最後に蓋を元どおりに閉めるのがマナーです。
蓋を閉めるとき、残った貝殻は椀の中に移し替えておけばOKです。