「強い子に育ってほしい」
子どもが大人へと成長し、社会に出ることを考える親なら、ある程度、強さを身につけて育ってほしいと願うでしょう。
そういう気持ちから、親としては「泣かない」というしつけをしてしまいがちです。
転んだとき「泣かない!」と言うまでは問題ありません。
小さな痛みくらい涙を見せずにこらえられるのは、強さの証しです。
多少の肉体的痛みや精神的痛みがあっても、すぐ泣かないことも大切です。
勉強にしろスポーツにしろ、涙を辛抱しなければ、乗り越えられません。
しかし、何でもかんでも泣かないことばかりしつけると、子どもはどうなるでしょうか。
あらゆる場面に泣かないことを禁止するようになると、子どもとしては「とにかく泣くのは悪いことなんだ」と思うようになります。
すると、いかなるときも泣くのを我慢するようになります。
何があっても弱音を吐かず、涙を見せないのは強いように思えます。
一見すれば、精神力の強い人間に育つように思われますが、実際はストレスをため込みやすい性格になってしまいます。
我慢は大切ですが、それでもそればかりでもいけません。
鬱病にかかりやすい人は、普段、泣かない人に多いと聞きます。
愚痴をこぼさず、真面目に働き、つらいことがあっても涙をみせません。
泣かないから、ため込みやすく、あるときから体調に異変を来します。
泣くことは、ストレスを吐き出すためにとてもいい効果があります。
悲しい映画を見て泣くとすっきりするのは、ストレスを吐き出すからです。
強くなりたければ、適度に泣くほうがいい。
「泣ける子」に育てます。
「泣ける」というのは「泣く・泣かない」を自分でコントロールできている状態です。
泣こうと思ったら泣けるが、我慢もできる。
状況に応じて涙を我慢し、状況によっては自分から積極的に泣ける、ということです。
この両方を兼ね備えています。
本当に強い人は、泣ける人です。
うまくストレスを発散させることができるということです。
ストレスを吐き出せられる能力があるから、肉体的・精神的苦痛にも耐えられる余裕が生まれます。
映画を見て泣いたり、友人に愚痴を聞いてもらったり、回想して泣いたりなど、強い人ほど泣き上手です。
泣かない子が強い子とは限らないのです。