身長を伸ばすために、ときどき聞かれる方法があります。
「鉄棒にぶら下がれば身長が伸びる」という方法です。
鉄棒にぶら下がると、重力によって体が下に引き延ばされます。
体全身を引き延ばしている感覚があるため「身長が伸びやすいのではないか」と感じる人も多いでしょう。
根拠がありそうな話にも聞こえるため、身長を伸ばしたくて、実際に試したことがある人も多いのではないでしょうか。
さて、鉄棒にぶら下がることには、身長を伸ばす効果があるのでしょうか。
結論から言うと、効果はありません。
身長が伸びるのは、骨が成長して縦に伸びたとき。
食事・睡眠・運動の相乗作用で骨が成長した結果、身長が伸びます。
鉄棒にぶら下がる行為に、骨の成長を促す要因はないため、身長を伸ばす効果もないのです。
頑張って鉄棒にぶら下がったところで、腕が疲れるだけで終わるでしょう。
鉄棒にぶら下がったくらいで身長が伸びれば、誰も苦労しないのです。
ただし、鉄棒にぶら下がった結果、一時的に身長が伸びる場合ならあり得ます。
鉄棒にぶら下がる前後で身長が伸びたなら、骨の関節部分にある「軟部組織」が引き延ばされたためと考えられます。
人は日中に立って運動していると、体重による圧力によって、骨の関節部分にある軟部組織が縮みます。
そのため、朝より夜のほうがわずかに身長は低くなります。
縮んだ軟部組織が、ぶら下がり運動によって一時的に膨張して、身長が伸びる場合があります。
この場合、あくまで一時的に縮んでいた軟部組織が膨張した結果にすぎません。
残念ながら、本当に骨が成長した状況とは異なります。