うまくいかなくなってからが、本当の恋愛の始まりです。
うまくいかないときとは、もちろん「揉めること」が起こったときです。
ささいなすれ違いがトラブルを引き起こしたり、思うようにデートする時間がなく、相手と疎遠になってしまったりとさまざまです。
こうしたとき、次の2種類の人にわかれます。
恋愛力のない広く浅く付き合ってしまう人のパターンは、(1)のうまくいかなくなって、そのまま恋愛を終わらせてしまう人です。
うまくいかないときは、海に例えると底に沈んでいる状態です。
何とか海から引き上げるようにうまく立て直すためには、反省をしたりさらなる行動が必要であったりします。
難しそうな響きに聞こえていませんか。
恋愛力のある人は(2)のうまくいかなくなってから、恋愛に燃えます。
沈んでいる状態から引き上げる努力をつらいと感じずに、ここを乗り切れば、私たちはうまくいくんだと明るい希望を持っています。
こんな人は自分から進んで反省し、もっと行動をして相手にもう一度振り向いてもらえるように努力をします。
私がまだアメリカ、ロサンゼルスに留学していたころ、将樹君という友人がいました。
将樹君には当時首ったけに惚れていた彼女がいました。
しかし、彼女は日本にいるため、なかなか会えない状態でした。
将樹君がアメリカにいて、彼女が日本にいるという超遠距離恋愛です。
私は当時、将樹君とはよく電話で話したり一緒に食事に行ったりしていましたから、彼女の話は毎日のように聞かされていました。
ある日、将樹君から、普段と違う様子で電話がかかってきました。
「彼女との関係が大変になった。相談を聞いてほしい」
困った様子だったので、もちろん快く了解しました。
わざわざ将樹君が車で私のアパートまで迎えに来てくれました。それを見た私は本当に困っているんだなと感じました。
将樹君は、彼女と会えない日々が続き、そのために破局になってしまいそうだと相談を持ち掛けてきたのです。
しかし、もっと驚いたのは、相談と言っておきながらすでに将樹君は次にどうするべきか自分でわかっていたということです。
私のところに相談にきた時点で、すでに将樹君の手には「日本行きのチケット」がありました。
今回のトラブルを乗り切るために、わざわざ学校を休み、何万円ものお金をかけて飛行機で日本に一時帰国をするというのです。
彼女の気持ちを取り戻すためだけにです。
私は「すごい」と思わず口に出してしまいました。
さすがにここまでの行動力は自分にはないなと思い、将樹君の行動力と彼女を思う「好き」の大きさが伝わってきたのでした。
日本でたった2泊のみした正樹君は、彼女とのトラブルを直接会って何とか乗り切りました。
私はそれ以後、将樹君の恋愛力を尊敬し、見る目が変わりました。
アメリカに留学して遠距離恋愛になると、うまくいかなくなるカップルが多い中で、ひときわ輝いて見えました。
将樹君だけはむしろその障害を、より熱くさせる恋の魅力とさえ感じていたようです。
うまくいかなくなってからが本当の恋愛の始まりだなと、私はここで学んだのでした。