戦国時代、北条綱成(ほうじょう・つなしげ)という武将がいました。
彼には、面白い戦法があることで有名です。
戦場では「負けるな。進め。なぎ倒せ」などと叫びながら突進していくのが普通です。
武将は奮い立たせる言葉を発して、兵たちの士気を高めます。
しかし、綱成は違いました。
「勝った、勝った」と叫びながら突進していくのです。
「勝った、勝った」と叫びながら突進してくる相手ほど、怖いものはありません。
相手の闘争心を奪う目的だけではありません。
「負けるな」と叫ぶとき、負けることを想像しますが「勝った」と叫ぶときは、勝つことを想像します。
兵たちに勝っている姿を想像させることで、ますます闘争心を高められます。
つまり、兵たちの士気も高めると同時に、相手の闘争心も奪える、一石二鳥の戦法なのです。
このユニークな言葉のおかげもあって、綱成は生涯36回にもわたる激戦を勝ち抜きました。
「勝った、勝った」と言いながら、戦いに挑みましょう。
勝ってから「勝った」と言うのでは遅い。
戦う前に「勝った」と言うから、勝てるのです。