日常生活の中では、時にお金で騙されてしまうことがあります。
私は以前、タクシーで法外な金額を請求されたことがあります。
ニューヨークへ旅行に行ったときのことです。
空港からニューヨーク市内のホテルへ行くために、タクシーを探していました。
すると、待っていましたと言わんばかりに、タクシーの運転手がどこからかすっと現れました。
慣れた感じでやってきたので、私はその慣れた雰囲気から信用してしまいました。
そもそも、ここが私の失敗でした。
タクシーの中でようやく「これは大変だ」と気づきました。
タクシーにもかかわらず、タクシーらしくない雰囲気なのです。
料金メーターがなく、運転手の態度が乱暴です。
すでに高速道路を走っているため、路上で「降ります」とは言いにくい。
それになにより、運転手が怖いのです。
マフィアに関係でもしているのではないかというくらい危険な雰囲気が漂い、怖くて何も言えませんでした。
旅行ブックには「タクシーでおかしいことがあったら運転手に指摘する」とあります。
たしかにそれはわかりますが、本当に危険な雰囲気ではそれが言えないのです。
言ったら殺されるのではないかと、不安になります。
空港からホテルまで、60ドルの距離です。
案の定、250ドル必要だと言われ、法外な金額を請求されてしまいました。
金額が明らかにおかしいですが、乗ってしまったからには渡すしかありませんでした。
「命があるだけましか」と思い、言われるがままお金を渡しました。
悔しい瞬間で、今でも強い印象として心に残っています。
タクシーが去り、一気にその緊張の糸が切れて、ホテルのベッドで横になると、悔しくて半分泣いてしまいました。
お金で騙されるときは、思いきり悔しい思いを味わうことです。
お金で楽しい経験や、面白い経験を買うことはできても、悔しい経験はなかなか買えるものではありません。
この悔しい経験が、後からとても貴重な財産となるのです。
私はそれ以来、タクシーには、注意深くなりました。
タクシーの雰囲気、料金メーターの数字の上がり方、運転手のマナーなどを、よく見るようになったのです。
騙される経験によって、タクシーを見る目を養えたと思えば、失敗経験も成長に変えることができます。
お金で悔しい経験をしたら「勉強になった」と考えましょう。
勉強できたことを次から生かしていけば、人生の中で無駄にお金を使ってしまうことは、なくなります。