学校を卒業して、だいぶたった、ある日のことです。
当時の友人から、衝撃の事実を聞かされたことがありました。
「今だから言えるけど、A子ちゃんは当時、水口君のことが好きだったらしいよ。恥ずかしがって、何もしなかったけどね」
私は驚きました。
「そういうことは、きちんと告白してくれよ」と思ったものです。
学生時代に経験できたかもしれなかった恋愛が、知らないところで、水の泡になっていたことに気づいたからです。
「もったいないよ」と、大きなため息をつきました。
悔しくて、悲しく、もどかしいという複雑な心境になったものです。
自分のことが好きなら、きちんと好きだと言ってもらいたいものです。
もちろん告白したとしても、必ずしも受け入れられるとは限りません。
しかし、相手が誰であろうと、自分のことを気に入ってもらえていることは、素直に嬉しく感じます。
自分の存在が、認められている気がします。
好意だけでも、嬉しいのです。
告白されたら、相手の好意に応えるためにも、できるだけ受け入れたいと思います。
自分のことを好きになったら、告白であれ手紙であろうと、きちんと本人に伝えてほしいと思うのです。
陰でこそこそと人を好きになるのは、相手に対して失礼です。
せっかく人を喜ばせる経験を、水に流しているようなものです。
誰かを好きになったら、その気持ちを本人に伝えましょう。
相手に喜んでもらうために、告白してみるのです。
結果にかかわらず、告白してくれたことに喜び、感謝してくれるはずです。
世の中に、迷惑になる告白は、ないのです。