祖母は生前、メイクをしない人でした。
実家は、愛媛の田舎ですから、周囲に何もありません。
周りに、何もないところです。
あるといえば、畑、田んぼ、川くらいです。
道路はありますが、あまり車も通りません。
そんな環境で、ゆっくりのんびりした生活でした。
しかし、ある日、祖母の変わった様子を目にしました。
行事などで人に会う予定がある際、祖母がメイクをし始めます。
さほど凝ったメイクではありませんが、メイク中はにこにこします。
驚いたのはメイクが終わると、ゆっくり歩いていた祖母の足取りが、いつもより早くなります。
丸くなった腰が、ぴんと伸びます。
いつもより柔和な笑顔が増えます。
別人になるのです。
そうした祖母の変化を見て「メイクの力はすごい」と思ったものです。
私は、そういう祖母が好きでした。
美しくなった祖母はもちろんでしたが、元気になった祖母はもっと好きです。
メイクは、ただ美しくなるだけではありません。
メイクをした本人を、元気に若返らせる力があります。
元気がないと思ったら、メイクをしてみましょう。
元気がないときこそ、メイクをしてみましょう。
気持ちが前向きに変わります。