「スイカのタネは邪魔」と思っていませんか。
スイカにはタネがいっぱいあります。
食べるときにはタネを取り除く手間があるので、ちょっと面倒に感じることもあるでしょう。
「タネなんてなければいいのに」と思う人も多いのではないでしょうか。
では、ここで想像力を働かせてみてください。
試しにタネなしのスイカをイメージしてみましょう。
赤一色で美しいでしょう。
見た目が均一になってシンプルになるでしょう。
その反面「スイカらしさ」が失われます。
赤一色で美しいですが、スイカらしくありません。
均一になってシンプルですが、変化も何もなく、シンプルすぎてつまらない。
物足りない感じがあって、違和感を覚えるのではないでしょうか。
タネなしスイカに怖い印象を受けることも少なくありません。
のっぺらぼうのお化けのように見え、ぞくっとするのです。
タネがないと食べるのは楽ですが、赤一色の均一の感じが不自然です。
「スイカのタネはないほうがいい」と思うところですが、実際にスイカのタネがなくなると、それはそれで違和感が強いのです。
スイカのタネは何か。
「風情」です。
趣をもたらす存在です。
スイカの個性であり、魅力です。
スイカのタネは、なければいいものではありません。
あったほうがいいものです。
なぜスイカはおいしいのか。
スイカは、タネを取り除きながら食べるのがおいしいのです。
「タネを取り除く」という小さな手作業をしながら食べることになります。
小さな手作業のおかげで一口一口に注意が向いて、よりおいしさが引き立ちます。
スイカのタネを邪魔と思ってはいけません。
「タネを取り除く」という労を受け入れることです。
スイカのタネを取り除くプロセスを楽しみましょう。
指先で取ってから食べるのもよし。
いったん食べて口の中から取り出すのもよし。
「面倒くさい」と思うから面倒になります。
「スイカらしくていいね」と思えば楽しくなります。
「ちょっと手間はかかるけど、これがいいんだよね」
一手間があるから、よりおいしく味わえます。
スイカのタネを取り除きながら食べることは、スイカの風情を受け入れ、楽しんでいることになるのです。