においの感じ方は、個人差があります。
不快なにおいが漂うと、頭がくらくらしたり、吐き気を催したりします。
幸い、嗅覚には「順応しやすい」という特徴があります。
しばらくすれば、においに慣れ、普通に思えてくるのです。
たとえば、バラのにおいがする部屋があるとします。
最初はバラのにおいを感じていても、しばらくすれば、だんだんにおいが感じられなくなりますよね。
鼻が、においに、順応したからです。
決して、嗅覚がダメになったわけではありません。
バラのにおいに慣れたとしても、カーネーションの花を嗅げば、やはり別のにおいが感じられるようになります。
カーネーションのにおいばかり嗅ぎ続けていると、今度はカーネーションのにおいに順応するのです。
こうした状況に、心当たりがあるのではないでしょうか。
他の感覚器官と比べても、鼻は刺激に順応しやすいといわれます。
ところで、鼻が他の感覚器官より順応しやすいのは、なぜでしょうか。
この不思議なメカニズムは、私たちの命を守るためといわれています。
同じにおい物質ばかりに反応していると、いざ危険な別のにおい物質があったとき、感じにくくなります。
感じにくくなれば、命に関わるリスクも高くなるため、新しいにおい物質にすぐ反応できるようにしています。
1つのにおいに慣れる一方で、別のにおいを感じやすい状態にしているのです。
神秘ですね。
素晴らしい人間の体とは、本当によくできたものです。