損をすれば、悔しい気持ちが湧いてくるもの。
そんなとき、思うことがあります。
「損を取り返したい」という気持ちです。
悔しい炎がめらめら燃えてきて、いても立ってもいられなくなるでしょう。
損のままで終わらせるのは悔しいので、何とか粘って悪あがきをしたくなります。
もちろん損を取り返したい気持ちになるのはいいのです。
誰でも思う当然の気持ちであり、不思議なことではありません。
保険金や還付金など、損を取り返せる正当な権利があるなら、アクションを起こすことも大切です。
きちんと必要な手続きを行って取り返せばいいでしょう。
しかし、正当な権利があるわけでもないのに、意地でも損を取り返そうとしているなら考え直したほうがいいでしょう。
感情的になっていて、騙されやすい状況です。
このまま損を取り返しに行けば、安易な罠に引っかかり、ますます地獄に落ちていくでしょう。
意地でも損を取り返そうとすると、追いつめられたような心理状態になります。
「損を取り返したい」と思えば思うほど執念深くなって、冷静を失います。
視野が狭くなり、客観的な視点が失われ、安易な思考に傾きます。
そんなときに近づいてくるのが詐欺師です。
詐欺師は「損を取り返したい」という人の気持ちにつけ込んできます。
「大変でしたね。よく耐えてきましたね。でも大丈夫です。必ず損を取り返せます。お任せください」
甘い言葉であなたを誘惑してきます。
人が困っているときに善意のお面をかぶって商売するのが詐欺師です。
公的機関や金融関連を装ってアプローチしてくることも少なくありません。
普段ならこういう話を「怪しい話」と判断してスルーしますが、焦っているときは感じ方が変わります。
うさんくさい話でも、心に余裕がないときは真実に聞こえ、信じてしまいます。
「神様から助け」「天から垂れてきたクモの糸」のように感じて、わっと舞い上がり、反射的に飛びついてしまいます。
そうして詐欺師の罠に引っかかります。
損を取り返すどころか、ますます損を増やすことになり、踏んだり蹴ったりになります。
取り返そうと思わないことです。
意地になりたい気持ちが湧いてきても、ぐっと抑えましょう。
損をしたお金は「授業料」と割り切って考えましょう。
損失が確定しても、知恵や教訓を得るための授業料と割り切れば納得できるでしょう。
意義が生まれれば、心の整理がつきます。
悔しくてたまらないときは「小さな損で済んでよかった。深入りしていればもっと大損になっていた」と思えばいい。
うまく自分を慰めることです。
自分の失態を認め、現実を受け止めましょう。
しっかり反省することで、知恵や教訓が身につきます。
同じ失敗を二度と繰り返すことがなくなります。